生産・生活を支える「渦巻ポンプ」の整備とは?

必要な場所へ水を圧送させる為の機器「渦巻ポンプ」は生産・空調など多くの用途に使われ、工場設備において必要不可欠な物です。工場で多く使われている反面、突発の故障も少なくないのではないでしょうか。故障により生産設備が止まってしまうなど大きなトラブルに繋がりかねません。

今回は、渦巻ポンプにおける不具合の内容と、整備周期について解説します。

渦巻ポンプにおける不具合

ベアリングの破損

渦巻ポンプにはベアリングが組み込まれています。ベアリングの設計寿命は50,000時間(約5年)とされていますが、設計寿命を超えて使用できる確率は約30%とされています。設計寿命を超えて使用されている場合、急なベアリングの破損により渦巻ポンプが故障してしまいます。

【主な破損の原因】
1.潤滑油不足
2.異物の侵入(水分、錆、ごみなど)
3.動作温度範囲外・速度適正外
4.異常振動

これらの原因によりベアリング内部のボール、内外輪、リテイナーなどに傷や擦れ・異物が接触してベアリングの破損=異音・振動の原因となります。最悪の場合はベアリングが動かなくなってしまい機器及び設備が停止となります。

軸封装置からの水漏れ

渦巻ポンプには軸封装置が有り、メカニカルシールとグランドパッキンの2種類があります。共にポンプの軸から水が漏れないようにしている部分の事ですが、共に完全に水を防ぐものではありません。

メカニカルシールは許容漏れ量として3cc/hr、グランドパッキンですと1,000cc/hr滴程度垂れている状態が正常で、微量ながら水は漏れます。

メカニカルシールはメンテナンス不要ですが、設計寿命が2~3年と短い反面メカニカルシールのみの交換でメンテナンスが完了するため、手間はかかりません。

グランドパッキンは締め具合を調整することで長い交換サイクルで使用することができますが、交換部品が複数発生します。

経年劣化やゴミ噛みなどが原因で、多量の漏れが発生した場合は、周辺の腐食やベアリング部への水侵入の原因となり大きなトラブルを誘発するため、早めの交換が必要になります。

 

カップリングボルトの摩耗

カップリングボルトは、カップリングボルトとポンプとモーターを繋いでいる軸と軸への動力伝達に使われる構成部品です。回転体の間で発生するミスアライメント(偏心・偏角・エンドプレイ)を吸収する事で組付調整の負荷を軽減します。こちらも経年劣化によりゴムの摩耗、ゴムの硬化によるクラック(亀裂)が発生し、ゴムが外れカップリングが変形してしまいます。ボルトとカップリングが接触を起こし異音振動の原因となりベアリングの破損に繋がります。

整備の重要性

定期的な点検又は整備を行う事で不具合・トラブルを未然に防ぎ、機器又は設備の延命、故障リスクが低減します。生産ラインや空調設備など、工場内で働く人々に大きく関わってくるため定期的な点検・整備は非常に重要となります。

部品の入荷状態が不安定な状況では、突発的に発生したトラブルへの対応も限界があります。生産・生活に影響を及ぼす渦巻ポンプのトラブルに早期に対応を行う事で安心安全を維持し、働く人を守る事が出来ます。そして機器又は設備も長く使用できると共に性能維持も出来るため、コストパフォーマンスにも影響してきます。

弊社ではメーカーに関わらず渦巻ポンプの整備を得意としています。オーバーホールから更新(設計・施工)、点検と対応が可能です。些細な事でも構いませんのでお気軽にご相談下さい。

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