溶接ヒューム対策
「溶接ヒューム」が、労働者に神経障害等の健康障害を及ぼす恐れがあることが明らかになり、
労働安全衛生法施行令、特定化学物質障害予防規則(特化則)等を改正し、新たな告示を制定しました。
特定化学物質(第2類物質)に追加されることが令和2年4月22日に公布および告知され、令和3年4月1日から施工されました。
また、令和4年3月31日までを猶予期間として設けているため、この期間内に溶接ヒューム対策をすることが望まれます。
また、2016年6月にも特定化学物質のリスクアセスメントに関する法律が施行されており、近年では、特定化学物質を使用する産業での作業に従事される従業員の皆様を守る取り組みが強化されています。
溶接ヒュームとは?
今回の法改正により対策が義務つけられたのは、アーク溶接により発生する溶接ヒュームです。
溶接ヒュームとは、アークの熱によって溶かされた母材である金属が、蒸気となり空気中で細かい固形状の粒子に変化したものを指します。人間の目では、煙のように見えるためその存在は認識しづらいです。
アーク溶接とは、アーク放電という放電現象を駆使して金属を溶接する方法です。気体中の放電現象を利用するアーク溶接の中で、代表的な溶接方法がTIG溶接でその他にもプラズマ溶接やMIG溶接・MAG溶接などが挙げられます。
加工の母材として使われるのは鉄鋼・アルミニウム・チタンなどが多いです。
アーク溶接はその放電による力から、短時間で高温を引き出し、加工することが可能である一方で、
他の溶接方法に比べ、溶接ヒュームが多く発生してしまいます。
溶接ヒュームとは、前述のように空気中で冷却・凝集された粉塵を指します。
(※燃焼ガス、レーザービーム等を熱源とする溶接、溶断、ガウジングは含まれません)
この粉塵を長期間にわたり吸引すると肺の組織が繊維化し、硬化してしまい弾力を失ってしまうことがあります。この胚の弾力性を失ってしまうことをじん肺といいます。
工場内の溶接作業従事者はこの溶接ヒュームに曝露による被害を被る可能性が高いです。
法律対策という面のみならず、自社の溶接作業従事者を守るために溶接ヒュームの対策が必要です。
法規制による具体的な実施要項
全体換気装置による換気等(特化則38条の21第1項)
特定化学物質作業主任者の選任(特化則第27条、28条)
溶接ヒュームの測定(特化則第38条の21第2項~第8項)
特殊健康診断の実施等(特化則第39条~第42条)
今回の規制による具体的な実施事項は下記の4点が挙げられます。
①全体換気装置による換気等(特化則38条の21第1項)
②特定化学物質作業主任者の選任(特化則第27条、28条)
③溶接ヒュームの測定、測定結果に基づく呼吸要保護具の使用及びフィットネステストの実施(特化則第38条の21第2項~第8項)
④特殊健康診断の実施等(特化則第39条~第42条)
特に全体換気装置による換気等(特化則38条の21第1項)につきまして対策をするために
送風機や排気装置の導入・それに伴う工事が必要となってきますので、早めの対策が必要であると言えます。
法改正に伴う溶接ヒューム対策
粉塵が飛散しにくい形にする
局所排気装置を使用し粉塵を取り除く
全体換気を行い粉塵を薄める
溶接ヒュームの対策としては、上記の①粉塵が飛散しにくい形にする②局所排気装置を使用し粉塵を取り除く③全体換気を行い粉塵を薄めるといったような対策が挙げられます。
金属アーク溶接等作業に関する溶接ヒュームを根本的に減少させるためには、上記ポイントの②もしくは③の全体換気装置による換気の実施または局所排気等のこれと同等以上の措置を講じる必要があります。
局所排気では、風の影響で溶接不良が起こったり、溶接ヒュームの濃度低減が難しい作業現場への配慮として全体換気での対策が有効です。
また、①のように粉塵を飛散しにくい環境を整備することも対策として有効です。
飛散を防ぐためには直接固形の粉塵を回収するという方法が効果的です。
法改正に伴う溶接ヒューム対策としての換気装置導入のご案内
固形粉塵回収装置 ダストレーサー
プッシュプル換気装置 ベンチレーサ
オイルミスト回収装置 ミストレーサ
溶接ヒューム回収装置 ヒュームレーサ
当社では、全体換気のための全体換気装置の他換気効率を高めるプッシュプルの換気装置や局所的に溶接ヒュームを吸引する局所排気装置など用途に合った最適な換気装置導入や据付、メンテナンス等のご提案が可能です。
また、集じん機や送風機を導入するという方法も効果的です。
移動式集じん機による集じんは溶接ヒュームの濃度を下げるためには有効な手段であると言われています。
集じん機や送風機についても、各種メーカー対応可能で、導入から据付、メンテナンスまで当社が一貫して対応させて頂きます。