クレーンやフォークリフトなどの工場で使用される機器は、労働安全衛生法で定期自主検査・月例点検・始業点検の実施が義務づけられています。社内の人手不足の影響や検査項目が分からない影響で実施していない企業も多いのではないでしょうか。

定期自主点検をする理由

クレーンやフォークリフトなどの工場で使用される機器は、労働安全衛生法で労働災害防止と性能維持のために定期自主検査・月例点検・始業点検の実施が義務づけられています。労働安全衛生法により、事業者は1年以内ごとに1回、定期に有資格者による自主検査を実施しなければなりません。この定期自主検査(検査の実施や記録、異常個所の補修)を怠るまたは無資格者による検査をした場合には、50万円以下の罰金などの罰則が適用されます。また定期自主点検は企業としての罰金を受けないためにするのではなく、働く従業員の命を守るために重要です。例えば、フォークリフトが正常に動作しないことで起こる影響は計り知れません。商品への損害をはじめ、人命に関わる場合もあります。だからこそきちんと規則やルールに従い、安全・命を守るためことが非常に重要です。

定期自主点検から得られるメリットは、「性能維持」と「耐用年数のアップ」です。定期検査を怠ると、性能が本来の能力よりもダウンし、事故が発生する恐れがあります。また点検を怠り続けていると、消耗や劣化・摩耗・疲労・損傷などによって機械の耐久性が下がってしまいます。常に良好なコンディションを保ち、機械の性能がフルに発揮できる安全な状態で使用することが重要です。

 

厚生労働省が定める点検の種類を紹介

厚生労働省が定める点検の種類についてご紹介します。ここで紹介するものは「労働安全衛生規則」で定められている行わなければならない点検です。

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1.特定自主点検(年次点検)

「労働安全衛生規則」では、1年に1度行わなければなりません。また、有資格者でなければ、実施することができません。異常が見られた場合には早急に修理作業などの対応が必要になり、検査項目も多く、作業が停止してしまう時間が長くなってしまいます。また、特定自主点検(年次点検)の記録は3年間保管しておく必要があるので注意が必要です。

2.定期自主点検(月次点検)

定期自主点検は特定自主点検に比べて、項目も少なくなっています。異常が見られた場合には、早急に修理作業などの対応が必要ですが、定期自主点検においては資格がなくても点検が可能です。しかし、実施記録は3年間保管の必要があるので注意が必要です。

 

当社が対応した自主点検事例

❶ボイラ

ボイラにおけるトラブルやその前兆は、機能低下や異音・煤煙などです。給水ポンプの能力低下や水管の汚れ・スケールによる熱伝導の悪化や、給水ポンプや熱伝導などの機能低下を放置すると、ファンモーターの損傷による異音や、大気汚染の原因となる煤煙を排出するような前兆が見られるようになります。
上記のような前兆が見られるまま使用を継続すると、ボイラに様々な影響を及ぼします。まず、給水ポンプの能力が低下した状態のまま使い続けると給水異常が見られたり、水管にスケールが付着したことで、熱伝導が悪化してボイラが故障します。さらに、ファンモーターがベアリングなどの損傷により異音が続くとファンモーターの異常停止が見られます。その他にも、菅体・炉内に煙が溜まり、着火異常を起こすことがあります。
これらのトラブルは主に定期的な清掃や部品交換によって解決できます。まずボイラから異音が生じた際は、ボイラ内部のファンモータ(ベアリング)の交換を行うことで解決します。また給水異常や水管破の破損が起きた際には、給水ポンプの交換、ストレーナの清掃及び交換・軟水器の能力点検及び交換をします。煤煙異常に対しては、燃焼測定、炉内清掃及び燃焼調整を行い解決します。

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❷ホイストクレーン・天井クレーン

天井クレーンは、日々、100㎏以上の重量物を搬送しているため、過酷な環境にさらされています。モーター・ブレーキなどの部品は使用するにつれて、劣化・損耗が進むため、作業効率の低下や重大な事故を招く危険性があります。そのため、定期的な点検・メンテナンスを行う必要があります。天井クレーンの法的な点検義務の有無は、ホイストクレーンのつりあげ荷重によって異なります。500㎏未満は法的な点検義務はありませんが、500㎏以上は月次、年次の点検が義務付けられています。さらに、3トン以上の物につては、2年の一度の定期審査が追加されます。また、点検簿の3年間の保管が義務づけられています。
クレーンにおけるトラブルやその前兆は、耳や目で確認する事が出来ます。耳を使った場合は、高負荷がかかることにより異音が発生し、異常を確認できます。目を使った場合では、クレーンのモータや制御盤から煙がでるため、異変を疑うことが出来ます。さらに、吊り上げた荷物の固定不具合に関してもレールの劣化やパーツの損傷など目で確認し疑うことが可能です。異常部分の確認・交換や潤滑油の補給によって解決されます。まず、ホイストクレーンの稼働時に異音が生じた際は、異音部分のサビや機械部品の欠け等の確認やグリス等の補給を行います。またモータなどから発煙した場合は、焦げ付き発生箇所の交換をします。さらに、吊荷の落下等による事故や、それによる二次災害が発生した場合は、モータやワイヤー等の耐久性や固定性の確認を行い対処します。

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